夕方家に着き、カーテンを閉め、着替えてお風呂にお湯を入れる。
流しに弁当箱を出し、ご飯の支度を始めるまで少しだけ座って一息。
スマホを開いたら、車の中で聴いていたYouTubeの音楽の続きが流れてきた。
自動で選択された曲はオリビアニュートンジョンの『そよ風の誘惑』だった。
じんわりと眼頭が熱くなった。
これは結婚式のキャンドルサービスで流した曲だった。
キャンドルサービスで流す15分くらいの【カセットテープ】を準備するよう式場のスタッフから言われ、自分の好きな数曲を入れた。
いとしのエリーなども入れたけれど、この『そよ風の誘惑』と、シャーリーンの『愛はかげろうのように』は、一推しだった。
30年以上も前の事ですっかり忘れていたけれど、
あの頃は世界がピンク色だった。
肩で止まるドレスを着ていて、キャンドルに火をつけるために腕を伸ばすと、反対側のドレスの肩が落ちてきて私のきゃしゃな?白い肩?があらわになる。
夫はそれが気になって、回した手で私のドレスの肩をせっせと上げる。
他の人にこの肩を見せてなるものか!って?
違うか。
あの頃は二人とも若くスタイルも良くてね。。。
今?
心配ご無用。
肩など出したら逆セクハラに。
それどころか、パッツンパッツンで肩など落ちる隙間は無い。
ドレス?
次にドレスを着るのは棺桶の中か?
洋装でお願いします、ってか!?
でも、音楽は変わらない。
あの日あの時を呼び起こしてくれる。
思わず涙が。。。
なんて感傷に浸っていたら、次々とみんな帰ってきて。
あっという間にいつもの『おっかさん』に戻りましたとさ。