イオンの『銀だこ』に並んで20分。
一向に進まない。
おそらくバイトの青年。
一心不乱にたこ焼きを焼いている。
需要と供給のバランスが崩れ、大変なことになっている。
お疲れ様…
どうしよう、たかが自分の昼食だ。
どこも混んでいるので、車の中でサクッと食べてしまいたくて並んだものの‥
思い切って列を離れようかと思いつつ、
ここまで並んだのに‥とか、
私が抜けたら後ろの人達は喜ぶだろうな‥とか思うと、
なぜか離れる気にもなれず。
この女々しい性格に自分でも嫌気がさしてくる。
と、視線を逸らしたら、なんだか髪の長い男性が誰かと打ち合わせをしている。
よく見ると、銀だこの列を成しているこの場所は、イオンの特設会場の裏手の様だ。
しばらくして、ババーンッ!と突然爆音の音楽が鳴り出した。
あれ?
知ってる!
この曲!!
この声は!!
ジュリーこと、沢田研二じゃないか!!!
ジュリーのコンサートが始まったのだ!
モノマネだけど。
しかしここは舞台の裏手。
銀だこの列からはジュリーの姿は見えない。
ええい!抜けてやる!
私は銀だこを捨てた。
列を離れ、ジュリーをこの目で見ようと舞台の正面に向かった。
驚いた。
高齢者しかいないではないか。
そっか、若い人はジュリーを知らないんだ…
高齢者に混ざってジュリー(モノマネ)をしばし見つめ‥
いやいや、こうしちゃいられない、昼食をとって次に行かなければ。
銀だこの前を通った。
なんと、列はさっぱり進んでいないではないか。
私の前にいた女性二人も、私の後ろにいた家族連れも、まだ同じ場所で並んでいた。
抜けて正解だった。
ジュリーも見れたし。
銀だこさん、
鉄板とバイトが足りないよ。
商売繁盛、すごいじゃない!
私は魚屋さん特製の寿司折りを買い、車の中で美味しい生寿司をほおばり、次へ向かいました。