三男は、1歳8か月の時、家から脱走し行方不明になりました。
我が家は、2歳上の兄、ちびまめが自閉症で多動があった為、家のドアもサッシも全て鍵がかけられていました。
更に、ゲージを付けたり梯子を横にして置いたりして、一人で外へ出られない様にしていました。
買い物に行く時も、しっかり手を握って連れて歩くのは自閉症のちびまめ。
ちびまめを車の中に留守番などさせたら、それこそパニックを起こし問題になること間違い無しです。
なので、車の中に閉じ込めておくのは必ず三男でした。
もちろん、数分間の戦争の様な買い物です。
ですが、長い間、三男には我慢ばかりさせていました。
ある夜のことでした。
19時15分頃、私がトイレに行っている僅かな間に、三男は、梯子をくぐりサッシを開け、網戸を破って外へ出て行きました。
網戸がヒラヒラと風に揺れていました。
初めはちびまめが出て行ったのだと思いましたが、姿が見えないのは三男でした。
裸足のまま出て行きました。
外は真っ暗です。
辺りを見ても気配はありません。
私は狂った様に隣近所へ駆け込み、応援を頼みました。
家の中にいるちびまめは、外から鍵をかけ一人で留守番。
夫はまだ帰っていません。
小学生の長男と近所の人と手分けして必死に探しました。
私の家は新興住宅地で、碁盤の目の様に道路があります。
住宅地は県道に隣接しています。
隣の市との幹線道路で車の通りは多く、道路脇には幅、深さとも2メートルほどの用水路があり水が流れています。
また、住宅地の裏手には農地が広がっており、自然の川や農業用溜池があちらこちらにあります。
私は絶望の境地で、心臓が止まりそうになっていました。
今、思い出しただけでもその状態が蘇ってきます。
三男は見つかりました。
偶然、本当に偶然の事でした。
回覧板を隣に回す為に外に出た方が、暗い中を裸足で走ってくる三男を見つけてくれました。
親が居ないことから、脱走してきたのだと察知し抱っこして保護して下さっていました。
幹線道路と用水路は、もはや、すぐそばでした。
感謝してもしきれません。
今、2歳の男の子が行方が分からなくなっています。
このニュースを見るたびにあの時を思い出し、親御さんのとてつもない苦しみを思います。
しかも日数が経っており、もう、精神状態は限界を越えているのではないかと思います。
今、三男は帰省しており、昨夜も家族でその話題になりました。
あなたがここに居る事に感謝しますと。